「サイトをリニューアルしたいが、WordPressのままでいいのか分からない」——医療機関・中小企業のWeb担当者からよく聞く相談です。

giverthでは自社サイト(giverth.co.jp)をWordPressから静的HTMLへ移行した経験があります。実際にやってみて分かった差と、どの組織にどちらが向くかの判断基準を解説します。

静的HTMLとWordPressの違い:一言で言うと

静的HTMLは、あらかじめ作成されたHTMLファイルをそのままWebサーバーから配信する方式です。サーバー側での処理がなく、読み込んだファイルをそのまま表示します。

WordPressは、CMS(コンテンツ管理システム)です。管理画面から記事を投稿・編集でき、PHPがサーバー側で処理を行い、データベースからコンテンツを取得してページを生成します。

実際に比較した4つのポイント

① 表示速度

静的HTMLの圧勝です。ファイルをそのまま配信するためサーバーの処理がゼロ。WordPressはリクエストのたびにPHP処理とデータベース参照が走ります。プラグインが増えるほど遅くなる傾向があります。

医療機関サイトでは、患者が検索して最初にアクセスする場面が多い。表示に2秒以上かかると離脱率が上がります。静的HTMLの表示速度は、この文脈で重要な差になります。

② セキュリティ

WordPressの脆弱性の大半はプラグインに起因します。プラグインのアップデートを怠ると、既知の脆弱性を突かれるリスクがあります。実際、国内でもWordPressの脆弱性を突いた改ざん事例が後を絶ちません。

静的HTMLにはCMSがないため、攻撃対象面が根本的に小さくなります。医療機関サイトで患者の個人情報を扱う場合、この差は特に重要です。

③ 更新コスト

ここはWordPressの優位性が明確です。

WordPressなら管理画面から「新規投稿」を押してタイトルと本文を入力するだけ。非エンジニアでも単独で運用できます。

静的HTMLは、記事を追加するたびにHTMLファイルの作成・一覧ページの更新・デプロイが必要です。ただし、Claude CodeなどのAIツールを活用すれば、この作業コストは大幅に下がります。giverthでは1記事あたりの作業時間を5〜10分に抑えています。

④ ランニングコスト

コスト比較の目安

静的HTML:月額1,000〜2,000円(レンタルサーバーのみ)
WordPress:月額3,000〜10,000円以上(サーバー+テーマ+プラグイン+保守工数)

WordPressは有料テーマ・プラグイン・セキュリティ対策・定期バックアップなど、維持コストが積み上がります。静的HTMLはサーバー費用のみで完結します。

静的HTMLが向く組織・向かない組織

静的HTMLが向くケース WordPressが向くケース
更新頻度が月2〜4本程度のコーポレートサイト 週1回以上のブログ・ニュース更新がある
表示速度・セキュリティを優先したい 非エンジニアが単独で運用する
AI支援(Claude Code等)を使える担当者がいる ECサイトや会員機能が必要
ランニングコストを抑えたい 複数の非エンジニアスタッフが記事を投稿する
医療機関・士業など情報セキュリティを重視する業種 多数のページを頻繁に更新・管理する

医療機関サイトへの推奨

医療機関のサイトは、更新頻度が比較的低く(診療時間・スタッフ紹介・お知らせ程度)、セキュリティ要件が高く、患者の信頼性が重要です。このプロファイルは静的HTMLと非常に相性が良いです。

医療機関サイトで静的HTMLを選ぶ理由
WordPress導入後に「プラグインのアップデートで表示が崩れた」「セキュリティ対策が追いつかない」「保守業者を探す手間がかかる」という相談を複数受けています。静的HTMLは「意図しない動作がゼロ」。全コードを把握できるため、問題発生時の原因特定も容易です。

「AI支援があれば静的HTMLも怖くない」という現実

静的HTMLの弱点とされてきた「更新のしにくさ」は、AIツールの登場で大幅に改善しています。

giverthでは記事HTMLの生成・一覧ページの更新・デプロイ確認まで、Claude Codeが担当しています。実際の手作業はほぼゼロ。指示と確認だけで済む体制になっています。

この仕組みは、IT担当者を持つ医療機関・中小企業でも再現可能です。「WordPressでないと運用できない」という前提は、もはや絶対ではありません。

移行を検討する際の注意点

WordPressから静的HTMLへ移行した際に、実際に対応が必要だったことをご紹介します。

  • 旧WordPressのURLへのSEO対応:Googleが旧URLを記憶しているため、`/wp-json/`・`/wp-admin/`などを robots.txt で Disallow し、`/wp-login.php` などは410 Gone で処理する必要があります
  • ナビゲーションの手動管理:WordPressはテーマがナビを自動更新しますが、静的HTMLは全ページを手動(またはAI支援で)更新します
  • お問い合わせフォームの再実装:スパム対策(ハニーポット・送信速度チェック・サニタイズ)を自前で実装する必要があります

これらの移行作業をgiverth では支援しています。「WordPress からの移行を検討しているが、何から始めればいいか」という段階のご相談もお受けしています。

まとめ:判断の基準は「誰が更新するか」

静的HTMLとWordPressの選択を一言で表現するなら、「誰が更新するか」で決まります。

  • 非エンジニアが単独で運用 → WordPress
  • IT担当者またはAI支援が使える → 静的HTML(セキュリティ・速度・コストで優位)

医療機関・士業・コンサルティング会社など、セキュリティと信頼性を重視する業種には、静的HTMLへの移行を検討する価値があります。

沼尻 義弘 — 株式会社giverth 代表取締役
沼尻 義弘
株式会社giverth 代表取締役 / ITコンサルタント・PM

病院勤務12年(医事課・システム担当)の現場経験を持つITコンサルタント。医療機関・中小企業向けの完全オフラインAI導入支援(Dify + Ollama)に特化。

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