「一度100%」だけでは足りない理由
B001-3(生活習慣病管理料)の診療報酬チェックAIで正答率100%を達成しました。
テストケース30件すべてで正答。令和8年6月の診療報酬改定新基準にも対応した実装が完成しました。
でも、そこで手を止めませんでした。
理由はシンプルです。診療報酬は毎年改定されるから。
今年100%でも、来年の改定でルールが変われば同じシステムが誤答を出す可能性がある。医療機関に提供するAIなら、「一度100%を達成した実績」ではなく、「毎月100%を証明し続ける設計」が必要だと判断しました。
診療報酬の改定サイクルとAIの課題
診療報酬には複数の改定サイクルがあります。
- 診療報酬本体:2年ごと(6月施行)
- 薬価改定:毎年4月施行
- 疑義解釈:随時発出。改定施行後2〜4週間以内に「その1」「その2」と追補される
令和8年の改定では、B001-3だけでも算定条件が複数変更になりました。加えて、施行後に「疑義解釈(その1)(その2)」が順次発出され、判定ロジックが細かく修正されます。
医療AIが「旧基準のままのナレッジ」で動き続けると——自信満々に誤った判定を出し続ける。
これが最大のリスクです。AIはハルシネーション(根拠なき自信)を持ちやすい。誤った判定をスタッフが信頼して処理すれば、レセプト返戻・査定・最悪の場合は監査対象になります。
実装した仕組みの全体像
今回実装した「月次自動改善ループ」は、毎月1日の夜22時に、人間が何も操作しなくても自動で動き出す設計です。
① スケジューラが起動
毎月1日22:00、ローカルAIエージェント(Hermes)のCron機能が自動でテストを開始します。
② AIワークフローにテストケース30件を投入
診療報酬チェックAI(Dify上で動作)に、想定される算定パターン30件を一括で投入。処理時間は約5分。
③ 結果を自動集計・記録
30件の判定結果を自動集計し、正答率をMarkdown形式でObsidianに自動記録します。
院内のGPU搭載PCの中だけで完結するため、患者情報に近い業務に使っても外部にデータが出ません。
自動で生成されるレポートのイメージ
毎月1日の夜、このようなレポートが自動生成されます。
# B001-3 月次テストレポート 2026-07
実行日時: 2026-07-01 22:03
正答率: 100.0% (30/30)
✅ 全件合格
前月同様 100% 正答率を維持。ナレッジベースの変更不要。
不合格が1件でも出た場合は、失敗ケース一覧と「改善メモ」が自動追記されます。月ごとの累積成績テーブルも自動更新され、「いつ・どの改定で・何が変わったか」の履歴が積み上がります。
なぜこの設計にしたか
医療機関にAIを提供する立場として、「精度は一度証明すれば終わり」という考え方は取れません。
1. 改定のたびに精度が変わるリスクがある
診療報酬のルールは毎年更新されます。AIのナレッジが古いまま動き続ければ、自信満々に誤った判定を出します。これは「AIが動いている」ではなく「AIが嘘をついている」状態です。
2. 医療機関がAIを信頼するには継続的な証拠が必要
「導入時に100%でした」という1枚の報告書より、「毎月100%を確認し続けています」という継続記録の方が、現場の信頼につながります。
月次自動テストは、その証拠を積み上げる仕組みです。
現時点の確認結果
令和8年6月改定後の手動確認:30/30 = 正答率 100%
新基準(B001-3算定条件・疑義解釈追補含む)に完全対応していることを確認済みです。
ご相談ください
「診療報酬AIの精度管理を自動化したい」「改定対応をもっとスムーズにしたい」——そうしたご相談があれば、お気軽にご連絡ください。
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