「施行されたら終わり」ではない——改定は施行がゴールではなく、むしろスタートです。

令和8年改定では、特に電子的診療情報連携体制整備加算で「届出し直しが必要」という落とし穴が生じています。旧加算から改定による刷新があり、以前の届出では自動移行されないためです。

自動移行されない:電子的診療情報連携体制整備加算

令和8年6月1日、電子的診療情報連携体制整備加算が新設されました。

ここで見落としやすいのが、令和8年5月31日時点で「医療DX推進体制整備加算」および「診療録管理体制加算」の施設基準を届け出ていた医療機関も、6月1日以降にこの新加算を算定するには改めて届出が必要ということです。

厚生労働省の疑義解釈資料(その7・問3)で「改めて届出を行う必要がある」と明記されています。自動では引き継がれません。

確認ポイント
「医療DXはもう届出済みだから、今回も継続でしょう」と考えていると、いつの間にか新加算を算定できない状態になっている可能性があります。

加算は「加算1・加算2・加算3」の3区分で新設され、再診時は月1回に限り算定します(初診料の注16、再診料の注19、外来診療料の注10に規定)。具体的な点数は令和8年の医科点数表(告示)でご確認ください。

月1回の加算でも、全初再診に対して積み上がると、年間では決して小さくない額になります。

届出できない施設が出ている理由

さらに厄介なのが、条件を満たしているのに届出できないケースです。

「マイナ保険証の利用率は基準を超えている」「電子カルテも導入済み」——それでも届出が進まない現場があります。

原因として指摘されているのが、加算に必要な「認証対象の電子カルテ製品一覧」がまだ十分に公表されていないという問題です。自院の電子カルテがその要件を満たす「対象製品」なのかどうか、ベンダーに確認しないと判断できない施設があります。

電子カルテを入れているからといって、自動的に算定できるわけではない——ここは特に注意が必要です。

改定後に確認すべきチェックリスト

「届出し直し」「要件再確認」が必要になりやすい項目を整理します。

  • 医療DX推進体制整備加算・診療録管理体制加算の届出施設で、電子的診療情報連携体制整備加算への届出し直しは済んでいるか
  • 自院の電子カルテが認証対象製品かをベンダーに確認したか
  • マイナ保険証の利用率など、施設基準の数値要件を満たしているか
  • 生活習慣病管理料(B001-3)など、改定で要件が変わった算定項目の運用を更新したか
  • 改定後に追加された疑義解釈を医事部内で共有・反映できているか
免責事項
各項目の可否は、必ず告示・保医発・疑義解釈の原文と自院の状況で最終判断してください。このチェックリストは算定可否の根拠にはなりません。

改定追従の仕組みを持っていますか

診療報酬の改定は2年に1回の大改定だけではありません。薬価改定は毎年、疑義解釈は数か月おきに追加・更新されます。

人の記憶と紙のマニュアルだけで追従するのは現実的に限界があります。「最新の解釈がどれか分からない」「誰が把握しているのか曖昧」——こうした状態が、知らないうちに算定漏れを生んでいます。

giverth では、改定・疑義解釈の情報を自動で反映できる RAGシステムを提供しています。根拠が確認できない場合は「原文確認を」と返す設計にすることで、現場が安心して使える仕組みを実現します。

沼尻 義弘 — 株式会社giverth 代表取締役
沼尻 義弘
株式会社giverth 代表取締役 / ITコンサルタント・PM

病院でシステム・医事を12年担当したITコンサルタント。医療機関向けの完全オフラインAI導入支援(Dify + Ollama)に特化。診療報酬の改定追従をAIで仕組み化する支援を提供している。

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